「CHAT-GPT」では、踊れません

投稿日:
2023-07-22
更新日:
2024-02-16
劇団代表ブログ

皆様、いつもありがとうございます。

AIの技術が進歩し「CHAT-GPT」などで作文もプログラミングも簡単に出来るようになりました。「DALL-E」や「Midjourney」で絵を描き、音楽や動画を上手に作れるAIも出てきました。

“芸術は人間しかできない”

今まで言われたことが、人間の芸術を真似できるAIが現れ、今まで人間がやっていたことが、これからAIに頼むことが増えそうです。

それにより“人間こそができることはなにか”と改めて検討する必要があるかもしれません。

また、それに従って“人間を育てる教育とはなにか”も再考しなければなりません。

そもそも、AIでできないことはあるのでしょうか?

AIがどこまで発展するか。その限界は分かりませんが、今のAIにとって、うまくできること、できないことがあると思います。

「CHAP-GPT」のようなジェネレーティブAI(生成AI)といわれるものが得意とすることはコンピューター画面で映せるものを作ること。反対に出来ないのは、物理的に存在するものを作ることです。

もちろん、物理的な作業ができるロボットもたくさん存在していて、その技術もこれから発展していくかもしれませんが、現在では、CHAT-GPTはコンピューター上のもので物理的に存在していません。

実際に人間のような体をしたAIは、クオリティーを求めると製作費が高く、技術も難しく、コンピューター画面上のAIほど普及していません。

最近のパンデミックではっきりと実感したことですが、コンピューターと実際に体感することは同じことではありません。

グーグルマップを見ることが、海外旅行と同じですか?

Zoomでのパーティーは、実際のパーティーと同じですか?

コンサートに行くのは、携帯などのデバイスで聞くのと同じですか?

コンピューター技術や画面越しでしか経験できないこともたくさんあります。

ただそれらですら、できないことがあります。

幸い、YTJで学ぶことは、すべて自身の体をつかったスキルです。

AIはダンスについて作文を書けますが、YTJメンバーのようなダンスはできません。

AIは音楽を制作できますが、YTJメンバーのように生演奏で歌えません。

AIは表情豊かな絵を描けますが、YTJメンバーのように舞台で演技ができません。

AIは翻訳できますが、YTJメンバーのように人間の気持ちを表した言葉で自己表現ができません。

“芸術の業界には仕事がない”とよく言われていますが「CHAT-GPT」がどの業界の仕事に取って代わるかというと、舞台芸術の業界の仕事よりIT系かもしれません。

しかし、人生は仕事だけのためのものではありません。

自分で考えて作文を作る、自分が描いた絵を家族にプレゼントする、自分の声で歌う、などのAIがどれぐらい発展しても奪えない経験ができるのも人間です。

AIは人類の繁栄のための力強い道具になると言われています。

AIのおかげで皆が豊かに健康で、生活できる社会になるのでしょうか?

AIのせいで仕事がなくなり、世界の人口の99%の人が苦しみながら、一番お金持ちの1%の人が100倍お金持ちになっている社会になるのでしょうか?

どちらの社会になるかのはAIではなく、人間の判断次第です。AIに指示を出すのは人間ですから。

そのためには、人間の教育がもっと必要となるでしょう。

YTJでは技術をいかして、e-Theatreなどでより多くの方々に届くような教育に挑戦しています。舞台芸術を通して、AIの代わりになれない人間を育てることに挑戦しています。

これから社会がどう変わるかが分かりませんが、

多様性の価値を感じる人間

コミュニケーションや自己表現ができる人間

チームとして行動できる人間

を育むことで、新しい技術が登場するたびに生まれる課題に、挑戦できる人間が増えると考えています。

劇団代表

グレゴリー・ウルフ