皆様、いつもありがとうございます。
AIの技術が進歩し「CHAT-GPT」などで作文もプログラミングも簡単に出来るようになりました。「DALL-E」や「Midjourney」で絵を描き、音楽や動画を上手に作れるAIも出てきました。
“芸術は人間しかできない”
今まで言われたことが、人間の芸術を真似できるAIが現れ、今まで人間がやっていたことが、これからAIに頼むことが増えそうです。
それにより“人間こそができることはなにか”と改めて検討する必要があるかもしれません。
また、それに従って“人間を育てる教育とはなにか”も再考しなければなりません。
そもそも、AIでできないことはあるのでしょうか?
AIがどこまで発展するか。その限界は分かりませんが、今のAIにとって、うまくできること、できないことがあると思います。
「CHAP-GPT」のようなジェネレーティブAI(生成AI)といわれるものが得意とすることはコンピューター画面で映せるものを作ること。反対に出来ないのは、物理的に存在するものを作ることです。
もちろん、物理的な作業ができるロボットもたくさん存在していて、その技術もこれから発展していくかもしれませんが、現在では、CHAT-GPTはコンピューター上のもので物理的に存在していません。
実際に人間のような体をしたAIは、クオリティーを求めると製作費が高く、技術も難しく、コンピューター画面上のAIほど普及していません。
最近のパンデミックではっきりと実感したことですが、コンピューターと実際に体感することは同じことではありません。
グーグルマップを見ることが、海外旅行と同じですか?
Zoomでのパーティーは、実際のパーティーと同じですか?
コンサートに行くのは、携帯などのデバイスで聞くのと同じですか?
コンピューター技術や画面越しでしか経験できないこともたくさんあります。
ただそれらですら、できないことがあります。
幸い、YTJで学ぶことは、すべて自身の体をつかったスキルです。
AIはダンスについて作文を書けますが、YTJメンバーのようなダンスはできません。
AIは音楽を制作できますが、YTJメンバーのように生演奏で歌えません。
AIは表情豊かな絵を描けますが、YTJメンバーのように舞台で演技ができません。
AIは翻訳できますが、YTJメンバーのように人間の気持ちを表した言葉で自己表現ができません。
“芸術の業界には仕事がない”とよく言われていますが「CHAT-GPT」がどの業界の仕事に取って代わるかというと、舞台芸術の業界の仕事よりIT系かもしれません。
しかし、人生は仕事だけのためのものではありません。
自分で考えて作文を作る、自分が描いた絵を家族にプレゼントする、自分の声で歌う、などのAIがどれぐらい発展しても奪えない経験ができるのも人間です。
AIは人類の繁栄のための力強い道具になると言われています。
AIのおかげで皆が豊かに健康で、生活できる社会になるのでしょうか?
AIのせいで仕事がなくなり、世界の人口の99%の人が苦しみながら、一番お金持ちの1%の人が100倍お金持ちになっている社会になるのでしょうか?
どちらの社会になるかのはAIではなく、人間の判断次第です。AIに指示を出すのは人間ですから。
そのためには、人間の教育がもっと必要となるでしょう。
YTJでは技術をいかして、e-Theatreなどでより多くの方々に届くような教育に挑戦しています。舞台芸術を通して、AIの代わりになれない人間を育てることに挑戦しています。
これから社会がどう変わるかが分かりませんが、
多様性の価値を感じる人間
コミュニケーションや自己表現ができる人間
チームとして行動できる人間
を育むことで、新しい技術が登場するたびに生まれる課題に、挑戦できる人間が増えると考えています。
劇団代表
グレゴリー・ウルフ